今日もご無事で。

今日も無事なら明日も無事でいて。そんなくだらない話。

書評(小説)

マチネの終わりに/平野啓一郎:離別する個は私で在るのか

『マチネの終わりに』を読んでいて途中で気付いた。自身の脳内で再生されている主人公の声や表情だけではなくその姿が福山雅治に、そして一方の女性は石田ゆり子に置き換えられていることに。映画は観ていないが、繰り返しテレビで流されるその予告編が無意…

物語の役割/小川洋子

好きな作家のひとりに、小川洋子さんがいて。 学生の時に、教授にそのこと伝えたら「そういえば私も好きで、書評かなんか書いたことあるわ」なんて言われて。 その時に教授に勧められたのが「物語の役割」という本だった。小説家として活動される一方で、エ…

真夏の方程式/東野圭吾[感想・レビュー]@ちょっとネタバレ

ずっと読まずにいた。 ガリレオシリーズ長編、最後だったから。 これを読んでしまったらガリレオがもう読めない!そう思って放っておいた。しかし、映画化も決まって、単行本化もされて、もうこれは、下手にネタバレを見てしまう前に読んでしまおう!と。一…

ふがいない僕は空を見た/窪美澄[ほんのちょっとネタバレ]

本作は、5人の視点から語られる、それぞれの人生についての連作短編集であり、群像劇だ。 助産院の息子である男子高校生(ミクマリ)、不妊に悩む女性(世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸)、家族や友人、彼氏との人間関係に葛藤する女子高生(2035年のオーガズム)、環境によっ…

白夜行/東野圭吾×超雑記その3@102912

白夜行 (集英社文庫)作者: 東野圭吾出版社/メーカー: 集英社発売日: 2002/05/25メディア: 文庫購入: 30人 クリック: 309回この商品を含むブログ (842件) を見るうーん。。。 確実に上手く言葉に出来ない事は承知の上だけれど、どうにかして吐き出さないとこ…

容疑者Xの献身&聖女の救済/東野圭吾[ネタバレなし]

人の生涯は、なんのためにあるのだろう。 東野圭吾の小説の面白さは、その人間模様にある。様々な生涯の捧げ方がある。 それは愛であったり、憎しみであったり、執念であったり。しかし、なにか一瞬の煌めきの為に生涯を捧ぐことは、一瞬であるが故に永遠ほ…

腑抜けども、悲しみの愛を見せろ/本谷有希子

夢中になって読んだ。 面白い小説というのはなぜか読むのを中断する箇所が見つからず結局一度も目を離さずに読み終えてしまったりする。 暇な証拠でもある。腑抜けども、悲しみの愛を見せろ (講談社文庫)作者: 本谷有希子出版社/メーカー: 講談社発売日: 200…

おやすみプンプンとノルウェイの森と人間失格

タイトルに三つの作品名を雑にぶっこんでしまった(どれも名作なのに)。 まず三作品の軽い概要(感想)を。 おやすみプンプン 1 (ヤングサンデーコミックス)作者: 浅野いにお出版社/メーカー: 小学館発売日: 2007/08/03メディア: コミック購入: 4人 クリッ…

妊娠カレンダー/小川洋子、からドミトリイについて

妊娠カレンダー (文春文庫)作者: 小川洋子出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 1994/02/10メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 51回この商品を含むブログ (142件) を見る透明感のある作家、とよく比喩えられる小川洋子。 僕も勿論そう思っていて、そういう所も…

芸人交換日記/鈴木おさむ

雑記。 またネタバレあり。芸人交換日記 ?イエローハーツの物語?作者: 鈴木おさむ出版社/メーカー: 太田出版発売日: 2011/03/10メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 118回この商品を含むブログ (34件) を見るよくある物語、と言えばそうだった。 だから「泣…

夜は短し歩けよ乙女/森見登美彦

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)作者: 森見登美彦出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング発売日: 2008/12/25メディア: 文庫購入: 84人 クリック: 1,493回この商品を含むブログ (719件) を見るいわゆる萌え要素がふんだんに盛り込まれた一冊であったと思…

告白(第二章:殉教者)/湊かなえ

“告白/湊かなえ”は全六章からなる。 今回は、その第二章:殉教者について。 夫々の章が異なった価値観で語られていくから、六章まとめては言えそうもないと思った。告白作者: 湊かなえ出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2008/08/05メディア: 単行本購入: 25人 …

あなたの呼吸が止まるまで/島本理生

あなたの呼吸が止まるまで (新潮文庫)作者: 島本理生出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/02/26メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブログ (9件) を見る女性にしか書けない文章だと思った。 けど、それは「才能がある」とか「センスがある…

猫を抱いて象と泳ぐ/小川洋子

小川洋子の真骨頂と呼ぶべきかどうか。 小説家としての技量を見せつけられたような、挑戦的な一冊のように僕は思えた。 「博士の愛した数式」で見せたような日常の暖かな優しさとはかけ離れた、かといってこれこそ小川洋子、とでも言わせる様な切なさと美し…