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祈り ~涙の軌道 / End of the day / pieces(Mr.Children)

発売から随分経ってしまったけれど、現時点でのMr.Children最新シングル。
hypnosisやmarshmallow day、HAPPY SONGが新曲として浸透しつつあるけれど。
今回は、シングル[祈り ~涙の軌道 / End of the day / pieces(Mr.Children)]について書きたい。

祈り ~涙の軌道 / End of the day / pieces

祈り ~涙の軌道 / End of the day / pieces

Mr.Children史上初のトリプルAシングルとして売り出された本作。
楽曲のクオリティひとつひとつは非常に高いものの、「トリプルA」の意味があまりよくわからない所から、なんとなく「話題性」を意識した結果なのかな、と。
[四次元〜Four Dimensions〜]なんかは、「四つの次元」というコンセプトのもと制作されてその通り四つの色がある楽曲で、ひとつひとつの境界がはっきりしていた。

しかし、本作は3曲ともなんとなく平均的で、普通のシングルを聴くときとなんら変わらない感覚。
ちょっと「話題性」の為だけにこの「ミスチル史上初トリプルA」というのを使ってしまうのはもったいなかったんじゃないかなあ、と思った。
なにせ、四次元はすべてタイアップもあったからね。

▼祈り~涙の軌道
極上のバラード、というよりは「聴きやすいバラード」
とはいえ、Mr.Childrenが名曲を産みだす際に用いられる最後のサビでもうひとつ転調するという技巧がここでも用いられている。
Cメロのざわつき感がHANABIっぽい所もあり、インタビューもなにもないから考察のいしようがないのだけれど、「Mr.Childrenの平均的かつクオリティの高いバラード」を意識しているような気がする。
Mr.Childrenの楽曲の中でもメロディーラインがとても綺麗な部類であると思うし、コード進行もベタな流れにちょっとスパイスがついていて、工夫がある。
映画「僕らがいた(前篇)」のタイアップだったこともあってか、少しだけ切なさを漂わせ、続きの予感を感じさせる締めでもあるような。
肝心の歌詞は、このメロディーラインに乗っているが故に綺麗な部分ばかりが目にいってしまうようで、どことなく後ろ向きであったりする。
もしこれが「バラード」を目的に作られなかったら、面白い楽曲になっていたんじゃないかな?と、所々に“気になるフレーズ”が鏤められている。

▼End of the day
名曲。
これは「久々のアップテンポだから評価されている」とか「ミスチルの中では大したことない」とか揶揄されているけれど、名曲であると声を大にして言いたい。

まず、「祈り~涙の軌道」同様に聴きやすい。
メロディーが流れるように耳元に流れ込んできて脳内を駆け巡る。
歌うとその難しさがわかる複雑なAメロも、聴いているとなぜか心地が良いリズムで上下する。

そして、この楽曲の素晴らしいと僕が感じる部分はそのサビだ。

Oh No! Oh Yes!/あと一歩のとこまできっと来てる/そうやって言い聞かせて/もっともっと/輝ける日は来る きっと来る/もう少しそう信じて(End of the day/Mr.Children)

もう分かりやすすぎて、わけがわからない。ミスチル、どうしてこんなシンプルな歌詞を書いた、と。
でも、そのシンプルさがとても沁みる。
終わりなき旅の歌詞を引用してみる。

閉ざされたドアの向こうに/新しい何かが待っていて/きっときっとって/僕を動かしてる(終わりなき旅/Mr.Children

一緒なのだ。
どちらの主人公も“一歩先”に“なにかがある”と“きっと”って“信じている”
そういう“聴き手の想像力”にすべてを委ねてしまっている無責任さが強い。

僕はライブでEnd of the dayを聴いてから好きになった。それまでは、またこの類か〜と思っていたけれど。

“きっともうすぐそこだ”と声を枯らして歌う桜井さんの説得力はわけがわからないぐらいに強くて。
僕らはそのフレーズを聴いて、思い思いの未来を勝手に想像する。
“そうだ、あと一歩のとこまで来てるんだ”と勝手に勘違いをする。なんて無責任な歌詞だ。それなのに“あと一歩だよ、がんばれ”なんて言われると泣けてくる。お前になにがわかるんだよ、と。でも、そう言われたらもう一歩、歩いてみようかな、とか、思ってしまう。

かつて「しるし」という楽曲でサビを「ダーリン ダーリン」という途轍もないものにして、それが「いろんな思いを乗せることができるように」としたように、この楽曲もそうなのだ。

なにより力強い。

Mr.Childrenは「僕はこう思っている、君もそうだろう?」と共感させる楽曲が多いが、「僕は君の背中を押しているよ」と一方的なメッセージを投げかける曲はそう多くない。それは、桜井さん自身がその一方的なメッセージに無責任さが伴うことを感じているからだと思う。
終わりなき旅だって最後でこそ「君を動かしてる」と言うものの、基本は「僕を動かしてる」であるから。

でもEnd of the dayは明らかに「共感して欲しい」じゃなくて「聴いてくれ!いや、聴け!」という無責任メッセージソングだ。

その強さが、グッとくる。
だから、僕は名曲だと思っている。
仕方ない、お前がそう言うんなら、あと一歩ぐらいは進んでみようかな、そういう楽曲。

▼pieces
割と発売当時、今もかな?評判がよかった曲。
「僕らがいた(後編)」のタイアップ曲だ。
and I love youと出だしのコード進行と似ているのは、なにか意図があってなのだろうか?インタビューないから気になる。

この楽曲はメロディーも、歌詞も、アレンジも、まさに“pieces”だな、と思う。
Mr.Childrenは整理整頓された所謂“上手な”歌詞が多いのだけれど、“pieces”は歌詞もバラバラになっている気がする。
こことここをつなげて、こことここがこうで、あ、もしかして、こうなる?みたいな、パズルのような歌詞の印象を受ける。

そして、メロディーもアレンジと共にどことなく歯切れが悪い。
音質が悪いという意味ではなく、なんとなくラジオから途切れ途切れのメロディーが聞こえてくるような。
コード進行も、素直に流れていくわけではなく、バラバラにチリチリに、ぎこちない感じだし。

ライブでは一度も披露されていなくてファンからの要望がとても強いのだけれど、これはきっとライブで化けるんじゃないか!と思っている。
アレンジ化けする曲だと思う。
HOME期に一曲混じっていたらなんとなく受け入れられそうな、渋い楽曲だと思っている。
ただいまのミスチルの色じゃないような?とも思う。

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