しごとのはなし/太田光
- 作者: 太田光
- 出版社/メーカー: ぴあ
- 発売日: 2011/10/22
- メディア: 単行本
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チャップリンと立川談志をどれだけ敬愛しているかが伝わってくる。
何事にも絡めてくるから。
この“しごとのはなし”は芸人である爆笑問題太田光のエッセイ本だ。
しかし、いつもふざけてばっかりの太田光ではなく、帯のコピーにもあるように“いつもよりちょっとだけまじめに語る”っている。
中身は、“〜のはなし”という伊集院光の「のはなし」みたいなタイトルでなにかの話をテーマに展開させていく。
例えば夢の話、例えば田中祐二の話、例えばプロとアマの話...etc
テーマに、なんて書いてしまったけれど、実際は話が何度も何度も脱線し、もともとのテーマに帰着しないことも少なくない。
けれど、切り口がとても面白くて、「ああ、そういう考え方もあるんだな」と素直に受け止められる。
特にエッセイだから当たり前なんだけど、あくまで「太田光の話」なのだ。
「僕はこうしたほうがいいと思う」とか「世の中とはこういう仕組みで、良くするためにはこうしないといけない」とかではなくて「僕ってこう思ってる」というあくまでこの本から提供されるのは素材のみ。良い意味で太田光中心。
ただ、切り口が面白いから、それをメモに書きこ起こして展開させていけるだけのネタは詰まっていると思う。
相方田中裕二の「彼はなにも考えていない」という話から、爆笑問題が仕事を選ばずにやっていることに対し明石家さんまに「爆笑問題の気持ちも分かる」と諭されたことや、父親との微妙で心地よい距離感の話、売れない芸人の話、ヘビースモーキングの話。
太田光自身も言っているけれどとにかく「認められたい」という意識が顕著なんだな、と思う。
自身の小説の「ここを評価してほしいのに!論点が違う!」とか「にちゃんねるとの接し方」とか、これから映画をつくることはすべてを懸けているからいざ批判されるとなると怖い、とか。
割り切りが下手なんだろうな、とか思う。僕も同じなので人のこと強く言えないけれど。
こうやって誰かのエッセイを読んで、誰かの考え方を覗くのは僕はとっても好きだ。
好きなアーティストのインタビューを読むのは勿論好き。
この間、津田さんがロキノンのインタビューを批判していたけれど、僕は好き。
普段、生きている人の突っ込んだ思考の中身を聞く機会ってなかなかない。
こんな風に文章にして読める機会なんてもっとないし。
何百頁の厚さになって読む事なんてもっともっとないだろう。
だから、ブログも好きだ。
tumblrも好きだ。
twitterも好きだ。
誰かの考え方が、生き方が、痕跡がそこに残っているメッセージを読み取ることが僕は好き。