今日もご無事で。

今日も無事なら明日も無事でいて。そんなくだらない話。

コクリコ坂から

コクリコ坂から(映画)、についての感想。

コクリコ坂から [DVD]

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企画・脚本が宮崎駿さん、監督が宮崎吾朗さんですね。音楽が武部聡志さん。
サウンドトラック、買いました。M28の「明日に向って走れ」がとにかく素晴らしい。ぼくは好き。また、サウンドトラックだけの感想も書きたい。

物語は、公式サイトに載っております。
映画『コクリコ坂から』公式サイト
言ってみれば、特別すごい事が起こる映画じゃない。だから、そこに関してぼくはジブリっぽくないなあ、と映画後に一言漏らした。
それはハウルの動く城、とか、千と千尋の神隠しみたいな奇抜な設定がない、という意味のジブリっぽくないではなく。
トトロや耳をすませばのような日常的要素もあった。しかし、大きく道を逸れる事がなかった、というか。日常のようで微かな問題提起があったというか。

まあ、だらだらと考察をするような物語ではないと思うけど。

人は成長するにつれ抱えるべき問題が増えていく。
しかし、「コクリコ坂」に登場している人物たちはなにかひとつに対して真っ直ぐに生きている。
諦めることにしたって、悲しむことにしたって、留まることにしたって、そこにはなんの邪念もない。
ただ、向かうべきものは、彼らにとって向かうべきものはサウンドトラックのM28のタイトルにもあるように「明日」なのだ。
彼らが信じる明日に向かって、ただ突き進んでいくだけなのだ。

とても稚拙な感想になってしまったけれど、本当にこれに尽きる。

実はこれって、制作側としてはとても難しいことなんじゃないかな?と思う。
大人になってしまうと、見えない繋がり(社会とか人間関係とか時代とか歴史とか)がうっすらと見えてしまう。
真っ直ぐに書こうとしても、その線はどうしても歪曲してしまうんじゃないかと思う。

進まなきゃ!と考えた時に、ぼくらはいくつか方法を考える。いままでの経験を活かし、妥当性、信憑性、選択肢、可能性を考える。
しかし、彼らは違う。進まなきゃ!すら思ってないかもしれない。
ただ、正直に、気持ちを抑えたり、伝えたり、正直に生きているだけだったかもしれない。

かといって適当に書くと、その真っ直ぐさがとても陳腐で、綺麗事のように思えてしまう(現にぼくのこの感想はとても稚拙になっている)。
しかし、コクリコ坂からの登場人物は、その陳腐さというか、くだらなさもなく、彼らの正義は気迫迫るものあった。
真剣に生きているのだ、それでも冷静に、動揺せずに、雨の中を歩いている。

その誠実さ、みたいのを醸し出すことが出来たのは、あの時代背景をうまく描いた美術的な面もあると思う。
とても絵が綺麗だったし、音が素敵だったし、音楽が溶け込んでいた。
灯りが暖かった。

音楽で言ったら、音のない音楽というか。
この部分はまさにジブリっぽいんだけど、映画を見ているのに映画を見る側にいる気分ではなかった。
ぼく自身が映画に溶け込んでいた感覚に陥る(映画の中に入るのではなく、映画そのものの感覚)。

それにしても内容に触れないように書くのは難しい。

ちなみに僕が特に気に入ったシーンは、風間俊が松崎海に向かって雨の中、傘を指しながらある事実を告げ
「まるで安っぽいメロドラマさ」
というシーンです。最高のシーンと台詞だと思った。

あとは、やっぱりM28「明日に向って走れ」がかかるシーン。