今日もご無事で。

今日も無事なら明日も無事でいて。そんなくだらない話。

うまれてしぬ/error403

著名人でもない人を話題に出すのってどうなんだろう、とか思いつつも。
同人誌に参加しているので大丈夫だと思い書く。
twitterでは10万人以上のフォロワーを持つアカウントerror403。

そんな彼にひょんなことから興味を持ち。
彼の素性もよくわからないまま、彼が漫画を描いたという同人誌「ジオラマ」を通販で購入。
そして読むに至る。

ジオラマ(第三号)」は同人誌で、数名の作家さんが漫画もしくはエッセイで参加している。
どの作品も個性があって、面白かった(ZINE漫画を通販で買ったのはじめてだった)。
それでも目当ての“うまれてしぬ/error403”について書く。なるべくtwitterアカウントのerror403に対する印象を排除しながら。

▼うまれてしぬ/error403
「うまれてしぬ」はerror403氏によるオリジナルの漫画作品。
ほんの16ページの物語。
メインキャラクターは顔が“しっかりした平行四辺形”で親友はなんか横長にまるいやつ。一応、顔の形状こそ全く違うものの、人間と同じ設定であるはず。

16ページに渡って描かれているのは、人の生涯だ。
まさに「うまれてしぬ」が描かれている。
「人の生涯」ってのは、どういう形であれ泣かせるもんだ。だって、人が生まれて死ぬんだもの、たいしたもんだ。

何も無くていいんだ。人は生まれて、生きて、死ぬ、これだけでたいしたもんだ。(北野武)

▼漫画的手法
そんな生涯の描かれ方にも、ひとつふたつといくつか工夫があって。
そこに作者の個性が出ている。
そして、その工夫が素敵だ。

例えば、小説にしかできないこと、映画にしかできないこと、漫画にしかできないこと。
リエーターは、「自分にしかできないこと」「自分の生きる世界でしかできないこと」を試そうと頑張ると思う。
でも、結局それって、小説でしかできないと言いつつ漫画でもできたり、漫画でしか伝えられないと言いつつ映画でも伝えられたりする。

「〜しかできない」という条件は、クリエーターにとって厳しい条件だ。
僕は音楽が好きで、作りもするけど、音楽にしかできないことってなかなかない。
突き詰めると映画でもできたり、それこそエンターテイメントならなんだってできたり、共通項があるからこそ人の共感を呼べる点があったりするから。

けど、error403氏の「うまれてしぬ」で描かれた手法は“限りなく漫画にしかできない”ことだ。
星新一の漫画版、みたいな。
そういう、ささやかで、やさしい、漫画的手法。

▼やさしくて、ささやか。
その手法が、手法だけで終わらず、メッセージにも繋がり。
「人の生涯は、バラバラのようで、いつか必ず、ワンシーン、ワンシーンが繋がって、一筋のメッセージが必ずある」といったようなメッセージも受け取れる。
これはもう僕の感性、感想だけど。

それにしても、とにかく“やさしい”漫画だ。
適当な過大評価もできないし、かといって趣味の領域は出ている作品だと思う様な。
たまたまカバンの中に入っていた何かを見つけた時の、ささやかな感覚。

僕はむしろ長編描いたら、ぜったい素敵なものが出来るだろうなーって思った。
error403氏は。
輝く長編を書く姿も見てみたい。

いつだったか「出来る限りエゴを削ぎ落として書いた」とtwitterでerror403氏が呟いていた気がするけれど。
主人公の「なんか、うまくいかないなあ、くやしいなあ」という思いが長編だったらもっと感情移入できそうだな、って。
短編で行間があるから想像が膨らむ、という点もあるかもしれないけれど、長編でも想像は膨らむ!

▼通販サイト、Lilmag(リルマグ)
あと、通販したサイトも素敵でした。⇒ここ http://lilmag.org/
これまた別に書きたいのだけれど。
決済方法に「物々交換(応相談)」があったり、受け取り方法に「人づて(知り合いなどを通し)」などがあったり。

これからは、資本主義と、そうでない部分と。
いろんな面で生き方が二極化、それ以上になっていく時代だなーと思っているので。

「作り込んだものは売れない」という人がいれば
「大切に作り込んだものこそ欲しい」という人もいる

ふたつのコミュニティーがあって
それぞれがそれぞれの経済を回して
生きやすいように生きる。

わけのわからないこと言ってますが、素敵な通販サイトでした。
通販だけど、人の温度がわかる。
「安心して買える」というのはこういうことを言うのだろうな、と思いました。