ドリーマーズ・ハイ/RADWIMPS
「君と羊と青」を彷彿とさせる軽やかで爽やかなアンサンブルのイントロ。
ギターのタッピングが心地よく響き、その地位を落とすことなく充分なキャッチーさで勝負をしかけてくる。
バンドが産みだしたグルーブは余韻を残したままAメロへと踏み込んでいく。
- アーティスト: RADWIMPS
- 出版社/メーカー: ユニバーサルミュージック
- 発売日: 2013/03/27
- メディア: CD
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僕らは昨日を捨てながら今日を生きていくのか、それとも昨日の為に今日を過ごすのか。
歌詞の内容は、大きな視点へと徐々に移り変わっていき、聴き手にぐるぐると巻きつけられた遺伝子について問いを投げる。
今ここにいること、生きているということ、その奇跡を陳腐な言葉で片づけてしまわない様に何重にも言葉を連ねる。
人殺しも総理も/愛されるための技をその遺伝子に/ぐるぐるに巻きつけられ/行っておいでと母/手を振った(ドリーマーズ・ハイ/RADWIMPS)
誰もが同じスタートに立ってこの場所に産まれてきたと歌っているようにも聴こえる。
「ドリーマーズ・ハイ」の状態へと変化する可能性を誰もが同じように持って生きているのだと。
それが故に捉え方次第のこの場所で、僕らはその状態で、なにを目指して次の世代につなげていけばいいのか。
バンドが生み出したダンサンブルで軽快なビートに乗っかったまま曲はサビへと展開していく。
Aメロ、Bメロが日本語詞で綴られていたのに対し、サビは英語詞で綴られている。
日本語詞の部分が重たいメッセージを伴って描かれいたのに対し、英語詞の部分は軽快なメロディーとアンサンブルに合わせる様に軽快な詞が当てられている。
とはいえ、一番尊いことを歌っているのはこのサビであるかもしれないのだけれど。。。そのままには訳せない気もするから解釈はそれぞれあるのかな。
Non-stopping girls running boys I'll be there for all of you/Shout it out born it out yah whatever hungry(ドリーマーズ・ハイ/RADWIMPS)
と、終わることなく誕生の周旋は続いていくことを歌う英語詞。
なにからなにまで遺伝子に傷つけられて組み込まれてごちゃ混ぜになってしまっても夢を追うのならそれでいいのだ、ということを歌っているような気もする。
その中でも生きることを諦めない、夢を見ることを諦めない状態がドリーマーズ・ハイなんじゃなかな、と。
ランナーズハイという状態が人間にはあって、長時間マラソンなどで走り続けているうちに、脳内でエンドルフィンという物質が分泌されランナーは、疲れや痛みよりも高揚感に身体を支配される。
この言葉をもじって作られた造語がドリーマーズ・ハイだとすれば、僕らは夢を見続けているうちに、その夢に対する苦悩よりも多く、高揚感を感じる様になるのではないかと。
どこかで読んだのは、「夢という言葉そのものが持つイメージを、できるだけ真っ新な状態で表現したかった」と書いてあったような。
それを象徴するように日本語詞と英語詞のメッセージ性の対比や、サウンドの盛り上がり方などが工夫されているような気がする。
サビの終わりで、何重にも声が重ねられ、コーラスが美しく調和しているのが個人的な聴きどころ。
声もひとつの無機質な楽器として、サウンドを駆け巡るように、長い長い歴史を辿るようにヘッドホンの向こうで鳴らされる。
無理矢理解釈すると、いくつもの夢の声なのかな、とも。
最後のCメロに入る手前の間奏では、それまでの生命のすべてをごちゃ混ぜにするかのようにギターが掻き鳴らされる。
淡々と鳴らされていたバックボーンはやがて熱の籠ったバンドサウンドへと変化していきDメロでハイの状態へと展開していく。
「透明人間18号」でもあったような詩の綴り方、言葉の対比、捉え方を説いていく。
やがて6分におよんで爽やかに駆け抜け続けたサウンドは、風が突然止むように、吸い込まれる様に終わりを告げる。
それは生命の終わりが、そうであるかのような、そういう未来を象徴しているような余韻を残さずに消えていくアウトロー。
メッセージ性の強い楽曲がシングルで続いているが、サウンドやアレンジ面は地味な部分で工夫していてパッと聴いたときに衝撃を感じられるものが少ないかな、とも思う。アルバムも今年中には出そうなので期待してます。
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