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Album:SENSE(Mr.Children)全曲レビュー

2012年5月10日にデビュー20周年を迎えるMr.Childrenが2001年から2010年までの曲を総括したBEST版とPOPSAURUSツアーを発表した。
そこでMr.Childrenを個人的に振り返る為の!アルバムレビュー。
どのアルバムを選べばよいか分からなかったので、とりあえずは最新アルバムを。

[SENSE:MR.CHILDREN]

SENSE

SENSE

本作SENSEは前作SUPERMARKET FANTASYからのMr.Children2年ぶりのアルバムとなる。
“365日(NTT東日本西日本CMソング)”“forever(ドキュメンタリー映画Split the Difference主題歌)”の発表や“fanfare(映画ワンピースストロングワールド主題歌)”のダウンロード販売こそあったものの、CDとしてのシングル販売は行われずアルバムについてはずっとベールに包まれたままでどのようなアルバムかは一切ミスチルサイドから語られることはなかった。
アルバム発売数週間前にラジオで“ロックンロールは生きている”が解禁となり、前日に曲目が発表された。
これは小林武史の戦略であったことが後に語られる。
内容は前作SUPERMARKET FANTASY、前々作のHOMEとは一転した“攻め(ロックという意味ではない)”のMr.Childrenが存分に表現されている。

M-1:I

マイナー調のアコースティックギターで不穏な雰囲気を醸しながら始まる。
“自分自身を騙しながら人は生きているんじゃないの?”と挑発気味に訴えかける攻撃的な歌。ニシエヒガシエや、フェイクとはまた違った視点からで、物凄くかっこいい。
都合が悪くなったら逃げていく、そういう人間の習性を否定も肯定もする気はないけれど、覚えとけよ、肝に銘じとけよ、と歌っているように聞こえた。

余談だけれど、もしアルバム一曲目が“擬態”や“fanfare”“365日”だったら僕は「いつものミスチルか」と聞き流していただろうけれど、この“I”だったからこそミスチル初聴史上最も感動したし衝撃を受けたし「ミスチルが戻ってきた」と思った。それぐらい“I”は強烈で、人工的ながらも「温かいミスチル」を全く演じていない。

M-2:擬態

たしかロッキング・オン山崎洋一郎氏が「名もなき詩の再来」と言っていたような気がするけれど記憶が朧気。
でも、そのニュアンスに近いような、ドラミング、ギター、サビの伸びやかなボーカル、疾走感のあるベースは名もなき詩に似ている。
まさに「新生ミスチル」と言ったような爽やかなミスチルだ。

ただ、歌っている内容は多少重い。
世の中に溢れたものたちは「なにかの擬態」であり、それらを見抜く力が必要なのじゃないのか、自分のものにする事が必要とされているのではないのか、という歌。
人やモノに貼られたいくつもの経歴(履歴)、それらを吟味することなく受け入れることは正しいのか。

M-3:HOWL

ボーカル桜井氏の雄叫びから始まる一曲。
M-1,M-2とは打って変わって歌詞もメロディーも構成もとにかく突っ走っていて端的に言うと「なんも考えるな!」と訴えかけるような曲。
聞いていて楽しいし、元気の出る曲だし、いままであるようでなかったミスチルの曲。
この曲も、ある意味“挑戦的”な一曲であると感じた。
ちなみにネットでは「ホエー」と叫んでいるのか「オー」と叫んでいるのかで小さな議論になっていた。

M-4:I'm talking about Lovin'

これもあるようでなかった曲。
片思いしている人間が告白しようとするが、中々一歩踏み出せずにいる内容。
韻踏みと比喩が上手くなされていて、遊びではないだろうけれど、SENSE
の中では比較的聴きやすく軽い曲。
リズム隊もギターも優しく演奏され、踊りたくなるようなリズムで軽快な曲。

M-5:365日

ライブでは「人が愛し合える日数=365日」というメッセージと共に流れ出す一曲。
歌詞の内容はいままでにもあったようなミスチル節が散りばめられている。
アレンジはちょっとだけデジタルチックで新しい。きらびやかなイメージ。
メロディーも“しるし”や“Everything(It's you)”のように張りあげる感じではなく、“君が好き”のように穏やかに流れていく。ファルセットを上手くつかっていて聞いている側も心地よく聴ける。

M-6:ロックンロールは生きている

こちらもデジタルな雰囲気がイントロから漂う。
ロボットボイスのようなもので「rockn'roll is not dead」と投げかけられた後、デジタルな雰囲気を打ち壊すようにアコースティィックギターのストロークが力強く鳴り、歌い出すボーカル。

ラジオで解禁された唯一のアルバム曲で、解禁に一番適していた曲じゃないかとも思う。
“I”ほど色も強くもないし“擬態”よりは新しいミスチルを感じさせる、これからのミスチルを予期させられた一曲だった。

間奏もとても凝っていて、bankbandでカバーしたradwimpsの“有心論”のような早口や、ギターソロ、“フェイク”や“ニシエヒガシエ”のようなデジロックな怪しげな間奏など、踏んだんに“攻めのミスチル”が盛り込まれている。

M-7:ロザリータ

実はこの曲は「新曲」としてファンクラブ会員限定ライブと関係者のみを集めたライブ“split the difference”で披露されていた。
当時あまり評価は良くなかったけれど、いざ音源化され、歌詞も公開されると高い評価をするファンも多かった。
なんとなく個人的にはIt's a wonderful world期の雰囲気を感じて“渇いたKiss”や“UFO”“ファスナー”が好きな人は好きになる要素があるんじゃないかと思っている。
倦怠感が漂っている、と言えばいいのかな。

M-8:蒼

この曲は、ピアノとギターと口笛が中心の曲でリズム隊は出てこない。
身の程を知りながらも、もがこうとする曲で、誰もが心に抱いている“弱さ”とか“葛藤”に焦点を当てた曲じゃないかと思える。
“諦めろ”とどこからか声が聞こえるのを感じつつも“諦められない”主人公の葛藤。
この辺りは、アレンジが違うものの、Mr.Childrenが一貫して歌ってきたことじゃないかと思う。
最近で言えば“HANABI”とか。

M-9:fanfare

痺れるような歪んだギターのリフから始まる一曲。
“未来”や“ランニングハイ”と言ったような少しだけ時代や自分を揶揄しながら、とにかく前に進もうとする力強いメッセージソング。
個人的な感想としてはアルバム“I❤U”を感じさせた。

曲の長さにして6分という力作で、サビだけでなく、Aメロも音程が高い所で踊っていて、ライブではキーを下げて演奏されている。
それだけ張りあげた感じの、力強い流れとリズムで構成された曲となっている。

M-10:ハル

淡い色に満ちた一曲。
主人公は“蒼”のように自身に無力さを感じつつも、“世界の素晴らしさ”を日常が感じ取り、もっと自由に羽ばたけたらと歌う一曲。
なんとなく“蒼”の主人公が生きる希望を見出したような曲にも思える。
人は行き詰っていた日々に、些細なきっかけで“世界の素晴らしさ”を知らされる。
構成自体はどこか幻想的で、鳴っている様々な楽器もどこか儚げに聴こえる。

M-11:Prelude

7分の超大作。
ファンからは過去の曲のフレーズが使われていて、いままでのミスチルが総括された歌だと言われたりもした。
その7分に恥じない通り、歌われている内容も、構成も飽きさせることなく、力強くラストへ向けて進んでいく。
爽快感もあるけれど、どこか刹那感もあり、明日へ向かって進もうと言う気にさせてくれる一曲。
終わりなき旅のような力強いメッセージ性で背中を押してくれる。

ギター、ベース、ドラム、ピアノ、ボーカル、そのどれもがそれぞれに力強く音を鳴らし、綺麗に調和し、乱れることもない。
Mr.Childrenの強さ、まさにPOPSAURUSに化けたような曲。

M-12:forever

名曲。
震災前に作られたものだし、そういう事を考えるべきではないが、いままで出会ってきたものたち、亡くなったもの達へ思いを馳せる歌であるように聞こえる。
当たり前のように過ごしていたけれど、どこか似ていた。

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