漫画「よつばと!」から感じる“ことばにしないやさしさ”
僕がよつばと!を読み始めたきっかけは以下に引用した9巻の帯のコピーを見てからだ。
変わっていく季節、変わらない毎日。(よつばと!9巻帯より)
漫画「よつばと!」は日常を描いた漫画だ。
けれど、冷静に考えてしまったら、ここに描かれている日常は“葛藤”や“苦悩”を排除した日常風景であって、そういう風に考えると「よつばと!」は非日常でもある。
ただ、そういう細かい所を突っ込んでいく漫画ではないのは言わずもがなだ。
「行間を読む」という表現がある。
行間(ぎょうかん)を読・む
文章には直接表現されていない筆者の真意をくみとる。
(デジタル大辞泉)
よつばと!には、その「行間」がたくさんあると僕は思う。
登場人物たちの“ことばにしないきもち”がたくさん散りばめられている。
よつばやとーちゃんをはじめとしたキャラクター達は、その行間に託された“きもち”や“やさしさ”を汲み取って、生きている。
最新刊のよつばと!11巻にあるテディーベアの「ジュラルミン」の話なんか正にそうだと思っている。
あの話は、僕にとって「よつばと!」の中でもとっても好きな話で、登場人物たちの、言葉にしない“やさしさ”とか“きづかい”がたくさん表現されていると思う。
よつばが落ち込む場面から、歓びに満ち溢れる場面まで、それを見守る周りの人間たち。
きづかい、やさしさ、おもいやり。
よつばと!の景色が丁寧に、繊細に、描かれているのも、そのひとつひとつが見逃せない行間だからなのではないかと思う。
そういう、なんとなく感じる“微笑ましさ”とか“ことばにしないやさしさ”と言うのが何度も「よつばと!」を手に取らせてしまう理由で、心が知らぬ間に解されてしまう理由なんじゃないかと思う。