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畠山直哉展 Natural Stories ナチュラル・ストーリーズ@東京都写真美術館

畠山直哉展 Natural Stories ナチュラル・ストーリーズ
コレクション展「こどもの情景―原風景を求めて」
第12回上野彦馬九州産業大学フォトコンテスト受賞作品展


東京都写真美術館


今回の個展がいつから予定されていたのか分からないが、後半では震災後の陸前高田の写真がいくつも飾られていた。
畠山さんは、陸前高田出身だ。
それも相まってか、今回のナチュラル・ストーリーズは自然と人間の関わり、自然の猛威が表現された個展だったように思う。

自然と人間との関わりとは言え、なにかを強く主張するような風景は多くなかったと思う。
とてもシンプルで、かといって透明感のあるわけでない、さりげなさのない写真ばかりだったと思う。

畠山さんの写真は、広大な風景をとって、それを見た人間が風を感じるとか、荒れ果てた地に咲く一輪の花に焦点を当てて、慈しみを表現するとか、そういうものではない。
人工的な写真だ。
シンプルだけれど、写真なのだ。風景のようで、写真なのだ。写真の枠を越えない。

例えば、発破の瞬間の写真がとても強烈に撮られていたけれども、それさえも、なにかを強く主張するわけでなく、画として強くそこに在ったように思う。

もしかしたら、僕が写真のその裏側に入り込めてない可能性は大いにある。
ただ、ものすごく俯瞰して見ている、捕らえている、撮っているような気が僕にはした。
エゴがないというか。

印象に残ったのは、1999年の作品である「タイトルなし/月│Untitled/Moon」ってやつだった。
その後に陸前高田の写真が待ち構えている、っていう気構えがあったからかもしれない。
けれど、無機質な街と、その夜空にはっきりと浮かぶ満月の写真はどこか感じるものがなくもなかった。