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MOZU season1&season2/百舌とダルマと映画化と[ネタバレ:ドラマ]

*1
ドラマMOZU、観てました。
WOWOWには加入していなかったので、地上波TBSで先程やっとseason2を観終えました。
非常に完成度の高い、素晴らしいドラマだと思っています。

百舌の叫ぶ夜 (集英社文庫)

百舌の叫ぶ夜 (集英社文庫)

▼事件の再現性とリアリティの整合性
ドラマとしての質が非常に高いと思ったのが、“ありえない”部分のラインをギリギリにリアリティを持たせて映像化している所だ。season1は、何者かによる銀座井筒屋爆破事件から始まるのだけれど、そのインパクトは凄かった。その事件に、倉木警部の妻・千尋が巻き込まれ、妻の死の真相を突き止める為、真実を追って奮闘する所から物語は動き出していく。
原作「百舌の叫ぶ夜」では非常にハードボイルドなストーリーでやり過ぎな部分も多々あり、それがドラマにも勿論反映されているのだけれど、違和感のない映像化とリアリティを維持しながらドラマが進んでいくのが素晴らしかった。特に百舌の殺人シーンなんかは、どれだけリアリティを持たせるかって難しい部分だと思うのだけれど圧倒的な強さ、隙のなさ、そして殺人鬼とは違う異質さを演技力、映像美でカバーしたキャスト(池松壮亮西島秀俊)は素晴らしかった。香川照之真木よう子も勿論。
やがて倉木たちが真相へ近づくにつれ、百舌という殺し屋、警察組織の闇、セキュリティ会社上層部の陰謀などが絡み合いながら物語は大きく展開していく。
season1は、アクション⇒伏線⇒アクション⇒伏線、みたいな1話ごとの展開の仕方が個人的にはあったと思っていてメリハリが非常にあるし、1話が銀座の爆破、最終話が空港の爆破という最高に面白いシチュエーションで「、伏線はすべて回収されなかったものの観ていて満足だった。それと比べるとseason2は映画化もあってか伏線の回収も中途半端で、season2のみとしての区切りがあまり意味をもたない、可能であればもっとしっかりしたテーマが欲しかったな、と思った。オメラスの地下牢(オメラスから歩み去る人々)とはなにか?というのが、season2のテーマだったのかもしれないけれど、その種明かしまでもがseason2の1話から考えると微妙な流れだったと思うし。ちょっとひとつのテーマとしてまとまり切れていなかったかな、と。

▼残された謎、ダルマについて
とはいえ、season2で妻の謎の真相(グラークα作戦)や、日本政府と警察の闇(国民監視システム)、ロシアと日本の関係(イワン・タイラー)などなど、おおよそが明らかになってきたわけだけれど、唯一season1からキーワードがちょこちょこ出てくるくせに真相に近づけずにその周りをぐるぐるとまわり続けている謎がありまして、それが“ダルマ”。
“this man”という“見たことないのに夢にでてきた”という人が続出しているという都市伝説が元ネタのようなのだけれど(ちなみに元ネタは社会学者による社会実験では?という噂も)、これがドラマの中でいったいどういう役割を成しているのか?
津城警視正がseason2の最終話(final episode)で真相を闇に消し去るとき電話で誰かに「ダルマで処理するように」と言っていた。そして、鳴宮は「大杉警部補が“ダルマの上に乗っている”夢を見た」と言う。
ヘンな話、“ダルマが大杉警部補の上に乗っている”であれば様々な推測ができるんだけど、大杉警部補が“乗っている”というのがいまいちね……。あの夢の話の後に大杉警部補が乗っていたのは名波なわけですが、名波=ダルマという考え方をすると、オメラスの地下牢に閉じ込められる人=ダルマと考えたら無理矢理かな?
サブリミナル効果によって刷り込まれた「ダルマ」というイメージは、この世界の秩序、均衡を保つ為の日本政府もしくは警察の“新システム”であり、それを知った東はダルマ=オメラス(知ってはいけない真実)として、倉木たちに伝えていたのかなあ、と。
そう考えるとグラークα作戦そのものも最後に倉木が大杉に問うていた“隠し通すべき真実”にもつながる様な、つながらない様な。

▼映画にはどこまで話が活きるのか
倉木が「一流の諜報員が組織から抜け出すなら、まずは味方から騙すだろうな」と言っていたあたりを考えると、イワン・タイラーは生きているわけで、それを映画化までひっぱるのかな?というのがまず疑問にあがる。まあ、無言電話も鳴り続けているわけだし、生きているんだと思うけど、これで明星の父親が絡んでくるとなるとさすがにロシアやグラークα作戦はネタとしてもう萎びてしまっているだろうし、倉木たちのフォロー役として活躍するのかなあ、とか。
ダルマは勿論、絡んでくるのだろうけれど、そこに東はどれだけ登場してくるのか。
ラストでオメラスの地下牢(と何度も僕は例えてしまっているけれど実際は警察の精神病院?)に閉じ込められた(強制入院させられた)名波なんかは、百舌(新谷和彦)は大きく絡んでくるんだろうね。
個人的には大きな警察組織の陰謀、原作で云う「砕かれた鍵」の“ペガサス”がキーワードとなって、過激かつ映画ならではのseason1を超えたド派手さでアクション&サスペンスで進めて欲しいな、と思っています。
あーでもよく考えたらラストで倉木が妻・千尋がグラークα作戦から唯一生き残って帰還し事情聴取されている映像を見ていること考えるとロシアまだまだ絡むのかな〜。
“空白の72時間”がまだ活きていますね。

いずれにせよ、映画化、非常に楽しみです。

MOZU Season1 ~百舌の叫ぶ夜~ Blu-ray BOX

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MOZU Season2 ~幻の翼~ Blu-ray BOX

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