今日もご無事で。

今日も無事なら明日も無事でいて。そんなくだらない話。

瀬戸内国際芸術祭2013×レポート,感想,まとめ〜その1(芸術祭のまわり方)

瀬戸内国際芸術祭2013にいってきました!
3年前の瀬戸内国際芸術祭に参加して以来3年ぶりでした。
ある程度、駆け足で回る形になりつつも、素晴らしい景色の中で観たい作品はじっくり見たり、ちょっとでもアートが好きで、どこか気分転換のできる場所へ行きたい人など、是非勧めたいです。

*1

▼まえがき〜瀬戸内国際芸術祭について
瀬戸内国際芸術祭は、過疎化していく瀬戸内の島々を再起させることを目的として始まったイベントでした。
初となる2010年夏の瀬戸内国際芸術祭では、香川県高松港岡山県宇野港、そして瀬戸内に浮かぶ直島、豊島、小豆島、男木島、女木島、大島、犬島の7つの島にスポットが当てられスタートしました。
現代アートと、昔からその場所に佇む風景の「融合ではなく調和」がそこには広がり、多くの人たちの心を揺らしました(たぶん)。
そして、今回「瀬戸内国際芸術祭2013」では前回の7つの島に加え新たに沙弥島、本島、高見島、粟島、伊吹島の5つの島にもスポットが当てられスタートしました。
直島や豊島など、前述の7つの島々は「東の7島」として、沙弥島や本島などは「西の5島」として考えると分かり易いです。

また、西の島々は季節によって会期が異なります。
まず、今回の「瀬戸内国際芸術祭2013」は、春、夏、秋の3シーズンに渡って芸術祭が開催されます
島やイベントによっては、春限定のものや、夏限定のものがいくつか存在します。
特に「西の5島」は季節によって会期が異なり、その会期を逃すと次は見られないかもしれないことが考えられますので、鑑賞したい作品がある場合は、ぜひ会期を調べて行くことをお勧めします。

▼作品の鑑賞方法
例えば、春限定で作品が展示されるのは「沙弥島」です。
僕も、少ない日数でどのように回ろうか考えた時、限定物の「沙弥島」は候補に入れてありました。
しかし「西の5島」は、「東の7島」と違いアクセスが多少複雑な面もあります。
僕は高松港を軸として島々を回っていましたが、「西の5島」には高松港から行くことは出来ず、まずは電車で「坂出駅」に向かうなどして、そこからバスを経由して沙弥島に向かいました(沙弥島は“島”とついていますが、現在は陸続きの場所にあるのでバスで行けます)。
しかし、これが別の島となってくると、船に乗る必要も出てきますし、「西の5島」から「東の5島」へ向かうことはできないので、時間配分、計画をしっかりしておくことをお勧めします(僕は、ほぼ行き当たりばったりでしたがそれでも楽しめました。ただ、計画的にしておいたの方がより楽しめると思います)。

それと、作品にとってはとても混雑して待ち時間があるものや、予約が必要なものもあります。高松港のインフォメーションセンターや公式ブックなどで、観たい作品を絞り、まずはその作品のもとへ足を運ぶ(もしくは予約する)ことをおすすめします。

沙弥島にある島スープも春限定ですが、僕が駆け付けた時には既に完売していて食べ損ねました(島スープは予約できません)。

*2

▼東の5島の回り方
まず、島に泊まりながら回るのか、高松港を軸として回るのか、ということです。
ほぼすべての島に向け船が出ているのは、高松港、そして小豆島(ただ、港と港の間が遠い)ぐらいだと思います。
しかし、島に泊まれば、その島で遅くまで散策をすることができます(島によっては、早くに船がなくなってしまうこともあるので)。*3
島の人たちに失礼がないように、迷惑がかからないような散策をすることが大切です。

それと、遅くまで散策が出来るとはいえ、作品は17:00には閉館してしまう場所もありますし、ご飯を食べる場所も夜は多くありません。
島で止まる場合も、暗くなったら民宿でゆっくり過ごすことをおすすめします。
値は張りますが、ベネッセハウスに一度泊まってみたいものです。。。

島々を渡る計画を立てる時に問題となってくるのが「船の乗り換え時間」です。
前述しましたが、島によってははやくに帰りの船(高松港行き)がなくなってしまいます。
船には余裕を持って乗りたい。しかし、そうすると作品の場所から港までの時間や、買い物する時間などを逆算して・・・と考え、結果的に余裕を持って作品を見れるのが夕方くらいまで、となってしまいます。

それはもったいないなーと思いながら、ダイアグラムを見ていた時に、小豆島(土庄港)を経由すれば、いつでも高松港に戻れる!ということでした。
高松と小豆島を結ぶ船は30分〜1時間おきに出ており、夜まで乗れます。
小豆島(土佐港)を最後の作品を見る場所、もしくはなんとか経由させて帰る、など考えれば、余裕を持っていろんな作品が見れるのではないかな?と思いました。

ちなみに高速旅客船が遅くに出ている時もありますが、乗れなかった時のリスクが高いのでそれだけにかけるのはあまりお勧めしません(混雑している時は特に)。
乗り損なって、帰りの船がなくなっても、港の人に相談すれば、チャーター船(海上タクシー)をなんとか手配してくれると思いますが、何人かで乗らないと普通の船より何倍も高いです。逆に大人数で乗れば、高速旅客船より安くなる可能性もあります。

参考:香川県海上タクシー料金⇒http://www.pref.kagawa.jp/kanko/seto-island/welcome/taxi.pdf

僕は「芸術祭6島周遊乗船2日券」という乗船パスを購入し、島を回りました。
購入金額4000円で2日間だけ船に乗り放題です。
ただし“乗れない船(経路)”がいくつかあるので(特に深夜便)、しっかりと確認しておくことをおすすめします。
基本的に、島々を回りながら高速旅客船も時々使うって人ならとてもお得だと思います。

*4

今回から、船には場合によって「乗船券」購入時にセットで「整理券」が配られる様になりました。
この「整理券」がないと高速旅客船などには乗れません。乗船パスだけ持っていて、乗る直前に整理券がないことに気付き窓口へ走る人を何人か見ました。僕です。
定員オーバーになる可能性も見越してのことだと思います。
この「整理券」はいつでもくれるので、1時間前でもなんでも、船に乗る時間が決まっているのであれば、もらっておきましょう。

直島や豊島、小豆島など、どの島も一日かけて楽しんでも楽しめる芸術祭だと思いますが、僕はいろんな島を船で回り放題したかったので、船を乗り回しました。
余談ですが、14時〜16時の時間帯は、どの船も、芸術祭で島が混み合っている時でさえも、空いているそうです。
そして、朝は基本的にぎゅうぎゅうらしいです。

▼島についてからの回り方〜小豆島
僕らが基本的に使える手段は、徒歩、自転車(レンタル)、バス、です。大きい島であれば車やバイクもレンタルできます。小豆島の場合は、港から港へ船での移動もできます。

まず、小豆島はとてもとても大きい島なので、是非、移動手段はバスを選んでください。計画性があれば、船もお勧めです、是非。
とにかく移動手段は、バスか船です。間違っても自転車を選んではいけません。
僕は自転車を選び、泣きたくなりました。

Google Mapで距離を測ったら5、6kmの場所だったので、これぐらいなら自転車で行けるなーと思い自転車をレンタルしたのが過酷な修行への第一歩でした。
その数kmの間に山を5,6個越えました。
山って言っても、島にある山を侮ってはいけません。
本当に山です。
登るだけで30分かかった山もありました(自転車をおして歩いています)。あんな急な坂で自転車下ったらブレーキかけてもぶっ壊れてしまうだろうな〜ってぐらいに急勾配でした。
自転車に乗っている人はまったく見なかったので、こんな選択をする人は他にも1人~2人いるかいないかだとは思いますが、一応その1人の人が見てくれることを願って書いておきます(島の人にも「本当に自転車なの?」と疑われる程でした)。

▼島についてからの回り方〜直島、豊島
直島は自転車でもいいと思います。
僕は前回(2010年)が自転車、今回(2013年)をバスで移動しました。

前回は見たい作品がたくさんあったので、自転車で回る方がより細かく移動できたので良かったです。
今回は、見たい作品は一か所に集中していて、その場所だけ見れたらよかったので、バス移動が楽でした。
バスは一度乗るごとに100円、主な自転車はレンタル一日500円。作品と作品の移動を結んで考えるといいと思います。
直島は坂も多くないので自転車でもとても楽しいです。

つづいて豊島ですが、豊島は坂があります。坂、というか山ですね。この山を越えなければ家浦港から唐櫃港へは向かえません。
ただ、小豆島と違い、しんどいのは(多分)一度だけなので、一度ぐらいならいいや、と思う人がいれば自転車でもいいかもしれません。僕は豊島でも自転車を借りましたが、唐櫃港まわりをうろうろするだけで、山は越えませんでした。
バスは一度乗るごとに200円、主な自転車はレンタル一日500円。
豊島はバス移動でも、十分作品は見れるかと思いますが、体力のある人や、風景を自分のペースで見て回りたい人には自転車の方がおすすめかもしれません。
けど、しんどい山がひとつあります。

▼島についてからの回り方〜男木島、女木島、大島、犬島
この4つの島は小さいです。ただし、女木島の鬼ヶ島大洞窟はバスがベストかと思います。
あとは、徒歩でも十分だと思いますが、自転車でもいいと思います。
小さい島ながらも、高い場所から見る海の景色は別格で、とても印象に残っています。
特に男木島にある豊玉姫神社から一望する瀬戸内海は、この旅の中でももっとも印象的な景色だったと感じています(これは2010年のことですが)。

ぜひぜひ、島の各地から瀬戸内海の島々と海を見下ろしてベストスポットを探してみて欲しいです。

*5

▼あとがき
「瀬戸内国際芸術祭2010」を体験した時はとにかく目の前に広がる島、そして海に感動しました。ああ、この場所にずっといたい、と。
しかし、今回思ったことは「島も、海も、空も好きだけれど、アートがなければやっぱり来なかったかもしれない」ということです。
現に僕は2010年に高松を訪れた後は一度も来ず、今回の「瀬戸内国際芸術祭2013」を機にまた高松へ来ました。そして、この春だけでなく、時間とお金が許せば夏も、秋も来たいと考えています(秋は連休に集中しそうで混み合いそうだし、仕事の都合もつかなそうだし難しそうな気もしますが・・・)。

この「アートがなければ来なかった」というのは、失礼なのかもしれませんが、僕の中ではとても前向きな意味です。
なぜなら、それこそがこの瀬戸内国際芸術祭の趣旨であり、アートによって島を再活性化という取り組みそのものだからです。
家プロジェクトによって、古い民家は新しい姿形へと生まれ変わりました。
はっきりいって、あの時の面影もないものも多いと思います。しかし、それもまた町の、島の新しい姿なのではないかと僕は思います。
いままでのようにはいかないから、いままでのままでは島がなくなってしまうから、生まれ変わったのだと思います。

島の人たちと、アーティストの人たちの間に齟齬が生じることはきっとあると思います。上手くいくことばかりではないし、あの日のままの景色を残したい思いは島の人たちもアーティストの人たちも同じであると思っています。
しかし、家プロジェクトによって瀬戸内の島々に誕生した新しい民家は島の風景を破壊することなくそこに在ったと思います。
誰もいない体育館や、教室の前で、僕は少し切なくなりました。アートよりもなによりも、この風景に出会えたこと、過疎化していく島の問題に向き合えたことがなによりも幸せだと思いました。
この島の未来と向き合うこと、訪れた人たちそれぞれが楽しんで向き合うこと、そういうきっかけになるために、この芸術祭はあり、素晴らしいと感じました。

余談は続きますが、Mr.Children桜井和寿さんは「ap bank fes」という音楽野外フェスを2005年から2012年まで毎夏開催していました(2013は初の休催です)。
もともとは「環境問題を音楽の力を通し、みんなで考える」というコンセプトがありました。しかし、ある時桜井さんが「そもそも僕は来場者の人が環境問題について考えるかどうかなんてどうでもいいとさえ思っている」ということを言いだしました。
どういうことかと言えば、「みんなが環境問題を考えるあまりに、僕らがメッセージ性を強くするあまりに音楽そのもののエネルギーを消してしまいたくない」といったような(当時の雑誌を読んだ記憶を思い起こすとざっとこんな感じ)。
社会的な問題を、みんなで考えて、社会的な取り組みに貢献していくことは大切だ。けれど、その問題ばかりに気をとられて、神経を張って、音楽そのものの根源にある、幸せなパワーを、無意識に問題へと変換させ続けてしまうのは、なんだかもったいない。
だから、まずは、来場者が環境問題について考えるより前に、音楽を楽しんでほしい、ということを桜井さんは述べていました。

これはきっと瀬戸内国際芸術祭にも同じことが言えるな、と思いました。
瀬戸内に浮かぶ島々の背景には、もちろん、日本各地のどの場所にも言えることと同じように、社会的な課題や問題が見え隠れします。
しかし、それ以上に、僕らはアートに魅了されていいのだと思っています。
そうやって、アートや、島、海、人々との触れ合いの中で、なにか、ほんの少しだけ残るなにかが僕らの生活の中で僕らをどこかへ動かすきっかけになればいいのだと勝手に感じています。

                                                                                                                                                                              • -

瀬戸内国際芸術祭2013×レポート,感想,まとめ〜その1(芸術祭のまわり方) - 今日もご無事で。
瀬戸内国際芸術祭2013×レポート,感想,まとめ〜その2(作品の感想) - 今日もご無事で。
瀬戸内国際芸術祭2013×レポート,感想,まとめ〜その3(まちづくりについて) - 今日もご無事で。
瀬戸内国際芸術祭2013×レポート,感想〜エクストラ

瀬戸内国際芸術祭2013公式サイト
瀬戸内国際芸術祭2019

*1:そらあみ×五十嵐靖晃@沙弥島

*2:島スープ@沙弥島

*3:ただ、注意して欲しいのは、散策をするのは作品や、島そのものであって、島には住宅もいくつもあり、人がたくさん住んでいます。

*4:芸術祭6島周遊乗船2日券

*5:これは小豆島からの夕焼け